三重県にある特別な伝統工芸品とは?萬古焼、伊賀焼、伊勢型紙…

  1. 三重北勢

三重県には世界に誇れるモノがいくつか存在します。
その一つが工芸品たち。

郷土の風土と歴史の中で育まれ、人々の日常生活と密着して維持されてきた伝統工芸品。
三重県には国に選ばれた5つの伝統工芸品があります。

その工芸品は伝統的工芸品産業の振興に関する法律(昭和49年5月25日、法律第57号、以下「伝産法」)に基づいて経済産業大臣により指定され「国の伝統的工芸品」と言われているのです。

三重県の伝統工芸品

まず、「伝産法」にはどのような工芸品が該当するのかをご紹介します。

  • 主として日常生活で使用する工芸品であること。
  • 製造工程のうち、製品の持ち味に大きな影響を与える部分は、手作業が中心であること。
  • 100年以上の歴史を有し、今日まで継続している伝統的な技術・技法により製造されるものであること。
  • 主たる原材料が原則として100年以上継続的に使用されていること。
  • 一定の地域で当該工芸品を製造する事業者がある程度の規模を保ち、地域産業として成立していること。

条件としてはこのようにあり、その工芸品が歴史的に長いものだということです。この条件に当てはまったのが三重県にある五つの伝統工芸品なのです。

参考:
経済産業省 生活製品課 伝統的工芸品産業室 – ホーム

伊賀くみひも

画像元・参照:三重県|伝統産業・地場産業:三重の伝統工芸品

組紐(くみひも)と言えば、海外でも人気の工芸品。
見た目がオシャレで、最近では新海誠監督の映画「君の名は。」では伊賀地方の「組紐」が登場したこともありかなり注目されています。

起源は奈良時代以前とされていて、当初は経巻や仏具・神具の紐として用いられました。

また、三重県組紐協同組合では、キーホルダーやブレスレットの制作体験を行っています。

場所:三重県組紐協同組合(伊賀伝統伝承館内)
住所:伊賀市上野丸之内116-2
電話:0595-23-8038

伊賀の組みひも(組紐)販売/教室/体験:三重県組紐協同組合「組匠の里(くみのさと)」
伊賀焼 – 伊賀焼振興協同組合

四日市萬古焼(よっかいちばんこやき)

画像元・参照:三重県|伝統産業・地場産業:三重の伝統工芸品

陶器と磁器の性質を合わせもつ、四日市萬古焼。
いわゆる半磁器(または炻器)というものです。

大きな特徴は耐熱性にあります。直火にかけたり空焚きしたりしても十分に耐え得るもの。
耐熱性を活かして、土鍋などの調理器具が数多く生産されています。

18世紀に、桑名の商人・沼波弄山(ぬなみろうざん)という人物が、現在の朝日町に窯を築き、茶器を焼き始めたのが期限とされています。
自分の作品が永遠に伝わるように願いを込め、「萬古不易(ばんこふえき)」の印を押したのが起源とされています。

ばんこの里会館では絵付け体験や陶芸体験を行っています。

名前:ばんこの里会館 萬古陶磁器振興協同組合連合会
住所:四日市市陶栄町4-8
電話:059-330-2020

ばんこの里会館公式ホームページ。萬古陶磁器振興協同組合連合会が運営

鈴鹿墨

画像元・参照:三重県|伝統産業・地場産業:三重の伝統工芸品

とても上質な色味が特徴の長い歴史がある墨。
延暦年間(782~805年)、鈴鹿の山で採取した松を用いて生産を始めたのが起源。
現在も植物性油煙を原材料に、昔ながらの製法で作られています。

発色のよさが特長として知られ、多くの書道家に愛用されているそう。

鈴鹿製墨協同組合では、鈴鹿墨を使用した「にぎり墨体験」を行っています。
生墨を握り、その形でとどめる墨が作れます。

名前:鈴鹿製墨協同組合
住所:鈴鹿市寺家5-5-15
電話:059-388-4053

伊賀焼

画像元・参照:三重県|伝統産業・地場産業:三重の伝統工芸品

無骨で力強いデザインが特徴の工芸品。約1200年前の天平年間、丸柱の農民が窯場をつくり、日用雑器を焼き始めたのが発祥とされる。
安土桃山時代には水差しなどの茶の道具や花入れなどに利用され注目されるようになりました。耐火性の高い伊賀陶土の特質を生かした日用食器類が江戸時代に作らるようになり、今に至ります。

伊賀焼伝統産業会館では、陶芸体験を行っています。

名前:伊賀焼振興協同組合(伊賀焼伝統産業会館内)
住所:伊賀市丸柱169-2
電話:0595-44-1701

伊賀焼 – 伊賀焼振興協同組合

伊勢形紙

画像元・参照:三重県|伝統産業・地場産業:三重の伝統工芸品

1,000年以上モノ歴史がある工芸品。
着物の生地を染めるために用いるモノ。

柿渋を用いて和紙を貼り合わせた紙に、細かい刃先の彫刻刀で着物の模様を丹念に彫る。
型紙を作り上げるのに高度な技術と熟練の技が必要です。
彫りの種類には「錐彫り」「道具彫り」「突彫り」「縞彫り」の4種類があります。

現在では伊勢型紙を染め物に使う以外に、伊勢型紙のもつそれ自体のデザインを活かし美術工芸品や建具、インテリアとしても用いられています。

鈴鹿市伝統産業会館では、伊勢型紙を実際に彫りしおり等を作る体験を行っています。

名前:鈴鹿市伝統産業会館

住所:鈴鹿市寺家3丁目10-1
電話:059-386-7511

鈴鹿市伝統産業会館

三重県が指定する伝統工芸品

国に指定された伝統工芸品以外にも、三重県に件が指定する伝統工芸品があります。

  • 主として日常生活の用に供されるものであること。
  • その製造工程の主要部分が手工業的であること。
  • 伝統的な技術又は技法により製造されるものであること。
  • 伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるものであること。
  • 県内の一定の地域において、一定期間製造されていること。

上記条件に当てはまるモノが「三重県指定伝統工芸品」とされ、現在指定されている工芸品は33品目有ります。

今回の記事を通して、三重の伝統工芸品に興味を持っていただければ幸いです。

村田

ロジセンスのアートディレクター/デザイナー。千葉で生まれ、東京で馬車馬のように働き、結婚を機に伊勢市に移住。家庭を優先しながら好きな仕事を続けている。三重で衝撃をうけたモノは、「とごる」、松阪牛のすきやき、アオサの味噌汁。

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