三重ブログ

AI活用で林業に活路を開く 速水林業(紀北町)

林業の世界は、意外にも、機械化が進んでおり、現場の風景が一変しています。
木の伐採だけではありません。今では、育林過程において必要な樹木の枝を切り落とす枝打ち作業ですら、ロボットが代行しているそうです。

こうした作業の自動化に積極的に取り組んでいる林業家が三重県内にも存在します。それが、今回ご紹介する速水林業です。

 

江戸時代から220年以上続く林業家

紀北町にある速水林業は、江戸時代の1790年から海山町(現紀北町海山区)で林業経営を開始。代表の速水享さんは林業家の9代目で、東京の大学を卒業後、Uターンして家業を継いで約40年になります。

速水林業は、紀北町と尾鷲市にまたがる尾鷲林業地帯に、1,070ヘクタールの森林を所有。そのうちの7割以上がヒノキ林です。
創業当時、紀州藩が「植林すればその林を自分のものにできる」という政策をとっていたことから、ヒノキ造林を開始し、その経営を継続して、現在に至っています。

 

速水林業の公式ホームページはこちら

 

生産性向上のためならチャレンジも惜しまない

広大な森林資源を保有する速水林業は、個人事業でありながら、大規模林業経営を実践。これまで、数々の革新的な事業に取り組み、生産性の向上を続けてきました。

機械化もそのうちの一つ。速水林業では、木の伐採、枝払い、玉切り作業(決められた長さの丸太を作る作業)のほか、伐採した木の搬出を中心とする、林業の機械化に積極的に取り組んできました。
現場が急傾斜地であるため、機械化は非常に困難でしたが、作業道の整備と並行して実行することにより可能になりました。

その結果、1ヘクタール当たりの労働投入量が、1980年代の約4分の1になりました。

 

AI活用で作業効率が大幅アップ

林業において作業効率を向上させるには、どの木がどこまで育っているかといった、森林の状況把握が欠かせません。
従来、林業関係者の多くは、木の太さや高さなどを、メジャーや角度測定器を使って計算するなど、森林の管理を人手に頼っていました。人手による計測作業は、労多くして情報量は限定的。このため、林内の状況を正確に把握してデータ化し、調査自体も効率的に行う必要がありました。

そこで、速水林業では、それまで培ってきたノウハウを基に、AI開発ベンチャー企業と共同で、レーザー光を利用した森林3次元計測システム「OWL(アウル)」を開発。
OWLは、立木の位置や、木の本数、直径、高さなど、森林の状況を精密に自動計測することができます。1地点の計測は45秒で終了。また、間伐木の選定や間伐率の計算もできます。

 

特許取得技術を搭載。「OWL」の詳細はこちら

「OWL」の動画紹介

 

林業において、機械化は、生産性の向上だけでなく、労働負担の軽減や安全の確保などにも貢献しています。
“典型的な3K職場”として敬遠されがちだった林業。今後、高性能機械とともに、AI・ITの導入が進むことにより労働環境が改善し、就労者の定着につながることが期待されます。