三重ブログ

阿漕浦で恒例の寒中水泳大会が今年も開催

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さて、年始の風物詩の一つといえば、寒中水泳。各地の様子をニュースで見ることがあります。

津市の阿漕浦では、毎年1月中旬に寒中水泳が行われます。寒中水泳といっても、ただの行事にとどまりません。時期が時期ですので、「お~寒っ」という声も聞こえてきそうですが、すばらしく「オーサム(awesome)!」な行事なのです。

今年も、大会では、三重の地に古くから伝わる古式泳法「観海流(かんかいりゅう)」の習得者による公開演技が披露されます。

 

津藩の武芸の履修科目だった観海流

観海流は、蛙足(かえるあし)の平泳ぎを基本として、水面に波を立てず静かに泳ぐというものです。長距離を遊泳し、それほど疲労を感じずに、目的地にたどり着けるのが特徴。このため、泳法は極めて自然であり、無理もなく、実用的です。

観海流は、忍(おし)藩(現在の埼玉県行田市)の元藩士 宮発太郎信徳(みやはつたろうのぶのり)によって、津藩に伝えられました。
信徳は、諸国漫遊の途中、独自の水泳術を編み出し、津藩に立ち寄りました。1852年に、彼は、津藩の当時の家老藤堂高克(たかよし)の前で、泳ぎを披露します。これを見た高克が、「海を観ること陸の如し」と称賛したことから、信徳による泳法は「観海流」と名付けられました。

津藩では、藩校「有造館」の武芸の履修科目として、観海流の泳法を採用。阿漕浦において、夏の60日間、泳法の指導が行われました。

なお、観海流は、津市から無形文化財の指定を受けています。

 

「あこぎなまね」「あこぎな商売」…という言葉の発祥の地、阿漕浦

ところで、寒中水泳が行われる阿漕浦は、「あこぎうら」と読みますが、「あこぎ」と聞いて、何か思い出しませんか?
ぴんと来た方は、たぶん正解です。そこのお父さん、アコースティックギターのことじゃないですよ。時代劇の「あこぎなまねはやめなさい」というセリフ。一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

津市南部の岩田川河口から伊倉津にかけての遠浅の海岸は、昔から阿漕浦と呼ばれていました。この海岸付近の海は、伊勢神宮にお供えする魚を守るための禁漁域でした。しかし、平治(へいじ)という漁師は、禁断を破って漁を行い、捕らえられたという伝説が残っています。「あこぎ」という言葉は、この伝説に由来しています。

 

2019年も成人の日に開催

観海流寒中水泳大会は、今年も、成人の日の1月14日午前11時から、阿漕浦海水浴場で開催されます。

阿漕浦では、観海流による寒中水泳は、1948年から行われ、沖渡り(※1)や弓矢術、水書(※2)などが披露されています。

観海流は、今日まで、その伝承形態や泳法上の技法を大きく変えることなく、存続してきました。

そして、1964年には、東京オリンピックにおいて、泳法技術が披露されました。2020年のオリンピックでも、その再現があるかもしれません。

ぜひこの機会にご覧になられてはいかがでしょうか。

 

※1 「沖渡り」とは、観海流の遠泳術であり、多人数で海を渡るときに、列を作って平泳ぎで進む泳法をいいます。
※2 「水書(すいしょ)」とは、泳ぎながら、扇や板などに文字や絵をかくことをいいます。

 

津市指定無形文化財 泅水術観海流