モノを運ぶだけが物流じゃない。三重の物流をトータルに支える大王運輸株式会社(明和町)

「トラックドライバーか。かっこええなぁ。日本の物流を支えちゃってるってわけや」
缶コーヒーのCMで、お笑い芸人扮するトラックドライバーが同窓会に出席した時に、同級生が発したセリフ。
一般に「モノを運ぶ」というイメージが強い物流ですが、CMでも、そのことがうかがえます。
しかし、物流は、モノを運ぶだけはありません。モノが届くまでの活動すべてが物流なのです。
今回は、運ぶだけでなく三重の物流を支えている企業をご紹介します。
エリア、取扱品を絞り、三重の物流業界をリード
大王運輸は、1954年に創立した、冷凍食品などを取り扱う物流会社です。
三重県内のトラック運送事業者は約1,000社。そのうち、冷凍・冷蔵食品を専門に扱う企業は約30社、さらに、冷凍・冷蔵輸送以外に、保管や在庫管理などの物流業務をすべてワンストップで行う業態の企業となると、5社のみになります。「何でも運びます」では、競合が多くなることが分かります。
そこで、大王運輸は、三重県内でオンリーワンの物流会社になるという戦略のもと、取扱品を冷凍・チルド食品、配送地域を県内に絞って、サービスを展開。冷凍・チルド食品の物流には、冷凍・冷蔵設備が整った倉庫や、温度管理の可能な車両などが必要となり、参入は容易ではありません。失敗を恐れずに、新しいことに挑戦した点が、事業の成功につながっています。
非効率な業務をあえて狙う
さらに、同社では、ドライバーが、商品を運ぶだけでなく、店頭での商品陳列、納品先からの集金なども代行。メーカーや卸売業者の担当者が面倒だと感じていた業務を、大王運輸が代わりにしてくれるため、メーカーらの負担が軽減され、担当者は本来の業務に専念できます。
このほか、同社は、在庫管理、鮮度管理、発注など、多様な業務を請け負っており、県内では、ワンストップ物流会社として、運送会社を超えた存在感を示しています。
ドライバーの判断、工夫が売り上げに影響
同社は、2012年から、地産地消を実現するために、「たべねっとみえ」という取り組みを行っています。
この取り組みは、「県内の生産者から地元の特産品などを集荷し、人口が多い消費地で販売する」というのがコンセプト。南勢・志摩地域の海産物や、東紀州地域のかんきつ類などを、四日市、桑名、亀山のスーパーサンシの店舗などで販売しています。
集荷とともに、店舗への納品、店頭での陳列などは、同社の若手ドライバーが担当。
ドライバーは、「どうすれば売れるか」と試行錯誤しながら日々取り組んでおり、2016年からは、商品の値段もドライバーが決めています。
このように、同社では、若手社員自らの判断や工夫が売り上げに影響するような仕組みを作り、やりがいを持たせる試みを続けています。そうすることで、社員の定着に結び付くと期待しています。
同社は、物流会社は運ぶだけでなく、新たな付加価値として「売る力」を持つことが重要と考えています。
【大王運輸株式会社の概要】
本社所在地 : 三重県多気郡明和町斎宮1854-6
営業所 : 2か所(四日市営業所、志摩営業所)
物流センター : 2か所(DCLセンター(明和町)、松阪低温物流センター)
設立 : 1955年7月
資本金 : 1,200万円
事業内容 : 冷凍・チルド食品の3PL(サードパーティロジスティクス)サービス、物流コンサルティングなど
保有車両数 : 冷凍車約60台
公式ホームページURL : http://dyoh.co.jp/index.html
※写真はイメージです。