伊勢神宮に縁ある馬の伝説。多度大社の白馬伝説・へんば餅の伝承

  1. 三重北勢

全国神社の中心、日本人の総氏神天照大神と、天照大神の食事をつかさどる豊受大御神を祀る伊勢神宮。
「一生に一度はお伊勢参り」と江戸時代から言われる神聖な場所です。

今回は、伊勢神宮や神宮参拝に縁ある2つ馬の伝承についてお伝えしていきます。

馬にまつわる2つの伝承

多度大社の白馬伝説

多度大社 白馬

天照大御神の第三子、天津彦根命が御祭神を務める多度大社。
その場所と御祭神同士の関係性から「北伊勢大神宮」とも呼ばれているこの神社には、古くから伝わる白馬の伝説があります。

昔から、多度大社のある多度山には、神の使いである白馬が棲んでいるといわれていたそう。
白馬は丘の上から眼下に広がる町を眺め、人々の生活の様子を神様に報告していました。
この白馬が神様の元へ駆け再び戻ってくるとき、人々の幸福や喜びも一緒に運んでくるといわれています。

参考:多度大社【白馬伝説】

へんば餅の伝承

へんば餅

伊勢の名物和菓子「へんば餅」を販売している伊勢市小俣町は、かつて伊勢参宮街道の最終宿場町として知られていました。

漢字では「返馬餅」と書く「へんば餅」。
名前の由来には、馬にまつわる一つの昔話がありました。

昔、村で疱瘡が流行り、ある一人の少女の家族も皆疱瘡にかかってしまいました。
少女は家族の回復を願い、返馬所で神様の使いである馬にお祈りをした後、餅を作り家族に振る舞ったそう。

すると、祈りが届いたのかみるみるうちに家族の病気が治ったため、少女と家族はこの餅を他の人にも売ることにしました。

そこでついた名前が「返馬所」にちなんだ「へんば餅」です。

参考:へんば餅【へんば餅の歴史】

2つの伝承の今

白馬伝説のある多度大社では、毎年、五穀豊穣と天下泰平を願う流鏑馬祭りが行われており、現在も神の使いである馬と執り行う行事が開かれています。
また、へんば餅は、現在も有限会社へんばや商店の和菓子として販売されており、地元の人々に愛され続けています。

時は流れ、日常生活で馬に乗ることがなくなった今もなお、それぞれの伝承は文化として脈々と受け継がれています。

千春

津市で生まれ育ち、大学進学を機に東京へ。都会での暮らしを満喫するも、津の海が恋しくなり地元に戻って就職する。現在は社労士堀内千春オフィス代表、ロジセンス取締役を兼任。趣味は旅行。海外は14か国、国内では沖縄県以外全県制覇。かわいいもの、おいしいものが大好き。

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