父の認知症をきっかけに・・・NPO法人「藍ちゃんの家」に出会い、高齢者支援、子育て支援についてお聞きしました(伊勢市)

  1. 伊勢志摩

“赤ちゃんからお年寄りまで安心して暮らせるような街づくりを”
この想いを基本理念として、社会福祉の様々な問題に寄り添うNPO法人が三重県伊勢市にあります。
三重県下初のホームホスピス設立や、障がい児日中一時支援など、幅広い活動を展開する
「認定特定非営利活動法人ときわ会 藍ちゃんの家(あいちゃんのうち)」
その想いと活動とは・・・

出会ったきっかけは認知症の家族の会の「つどい」でした

認知症の家族の会 つどい

私が藍ちゃんの家に出会ったのは、遠方に住む父の認知症がきっかけでした。
直接介護出来ない立場でその父や周りの家族に対し、自分に何が出来るか悩んでいたところ、飛び込んだ先が「伊勢のつどい」(公益社団法人 認知症の人と家族の会主催)だったのです。

伊勢のつどいでは、認知症にかかわる様々な立場の人が交流し、今抱えている不安や問題を話したり、お互いに情報提供を行ったりしながら認知症に関わる人たちを支えています。

“認知症”という言葉が突然自分の家族に降りかかった上に、どうしたらよいのか不安を抱えていた時、こちらのつどいによって、とても励まされ父の症状にも素直に向き合えたことに今でも感謝しています。

そして、そのつどいで伊勢地区の世話役をされている方が、「藍ちゃんの家」の理事長をされている藤田慶子さんでした。

■関連リンク:公益社団法人 認知症の人と家族の会主催 三重支部

認知症だけではなかった、世代を超えた幅広いケア

藤田さんに出会い、「藍ちゃんの家」について様々なお話を聞かせていただいている中で、認知症に関するサービスだけではなく、終末期のケアや子育て支援など幅広く行っていることを知り、ますます興味をもちました。

私も現在学童保育に従事しているため、子育てに関することも興味がありましたし、父の認知症をきっかけにホームホスピスについても知識を深めたいと思っていました。

現在、藍ちゃんの家で行われている主な事業として、

  • 「生き活きごはん」・・・食の事業(配食事業、学童保育給食、弁当・惣菜販売など)
  • 「ホームホスピスいせあこや」・・・ホームホスピス事業
  • 「放課後児童クラブ」・・・小学生放課後支援事業
  • 「日中一時支援事業フレンズ」・・・障がい児放課後支援事業
  • 認知症カフェ、みやざきカフェ、うたごえ喫茶※
  • さくら食堂※・・・世代間交流をしながら、楽しい時間を過ごす食堂

などがあります。
※現在コロナ禍で上記活動は一時休止をしていますが、世代を超えて幅広い事業を展開されています。

上記にあげた事業を幾つか詳しく紹介します。

■ 食の事業

食の事業の一環として作られている自家製「伊勢のお野菜スープ」は、三重県内の食材を使用し、赤ちゃんの離乳食から高齢者まで食べることの出来るやさしいスープです。
こちらは伊勢神宮外宮(豊受大神宮)の奉納品として、平成27年に奉納されました。
また、地元食材を使った配食サービスやお弁当、真空パックのお総菜などは、高齢者世帯はもちろん、お仕事や子育てで忙しいお母さんにもおすすめです。

伊勢のお野菜スープ

■ ホームホスピス

ホームホスピス事業においては2017年に三重県で初めて、そして現在※も県下唯一のホームホスピスです。
ホームホスピスとは、自宅ではないもうひとつの“家(うち)”です。

民家を改築し、暮らす方がその人らしく生活を送れるように、普通の家と同じような環境の中で過ごすことができます。
加えて24時間を通し専門スタッフによる暮らしのサポートも整えられ、決められた面会時間もありません。
長い入院生活や、自宅での介護や看取りに不安や心配がある家族にとっても、そして利用する本人の意思を尊重する意味でも、とても意義のある場所だと言えます。

さらにコロナ禍において面会が制限されたこの時代においても貴重な場所であることも確かです。
介護する側、される側にとって、このような選択肢があることも知っておきたいですね。
ますます高齢化が進むにつれて、こういった需要が増えることは必至であるかもしれません。

※令和4年1月現在

藍ちゃんの家 あこや

■ 認定特定非営利活動法人 藍ちゃんの家 公式ホームページ

「藍ちゃんの家」の藍とは・・・

藍ちゃんの家

さて、藍ちゃんというのは、どんな意味が込められているのでしょうか?
以下、ホームページから引用させてもらいました。

「藍」はタデ科の植物であり染料に使われます。壷の中で細心の温度管理をしながら何度も何度も手作業を繰り返し、大切に発酵させた後、染料はできあがります。その染料に布を浸す、干すを何度も繰り返すことにより深い味わいのある布ができあがります。
古来、染められた布は、害虫、毒へびから人を守る野良着として利用され、又使えば使うほど藍色に味が出て来ると言われてきました。
そのような、多くの人手による天然染料の名前の「藍」は愛にも通じます。
親しんでいただくところという気持ちを込めて「○ちゃんの家」を組み合わせて『藍ちゃんの家』と名づけました。

藍ちゃんの家の名前の由来

人と人とが支え合う・・・そんな優しさが伝わる由来ですね。

また「藍ちゃんの家」の想いには、

私たちを取り巻く環境では様々な社会問題が起こっています。高齢化、少子化、核家族化なども大きな問題です。育児・介護などで困ったとき、「お互いさま」という気持ちで地域の人たちが手をとりあうことが大切ではないでしょうか。  “赤ちゃんからお年寄りまで安心して暮らせるような街づくりを”という想いを基本理念に、藍ちゃんの家は設立されました。

藍ちゃんの家の想い

と書かれています。
まさに、私も知らない土地へ移住してきて、結婚、出産、子育てと誰かの手を借りてここまで来ることが出来たと実感している毎日です。
人とのつながりが薄れつつある今、この想いと行動が人から人へと広がることが大切のような気がします。

想いが伝わる「お互いさま」の優しい街へ

想いが伝わる「お互いさま」の優しい街へ

藍ちゃんの家の想いはきっとまだまだ続いていて、さらに活動の幅が広がることでしょう。
育児や介護も一人でできるものではありません。そしていつかは自分もお世話になることがあるかもしれません。
そんな時に、ふとこのようなNPOがあることを思い出して、頼れる場所を見つけたいですね。
そして、こういった熱い想いを持って生活をサポートしてくださる方がいることにも心より感謝したいと思います。

最後に、自分もその一端を少しでも担える人になれるよう精進したいなとこの記事を通じて改めて思いました。

花乃音

東京生まれ。結婚を機に三重県伊勢市に移住。
現在は子供に関わる仕事に従事。
自然豊かなこの地で、“その瞬間”の幸せを探す日々。
花と緑と広い空、そして鳥の声を聞きながら、愛犬と過ごす時間が何よりもの癒し。

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