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家庭料理の定番「味ご飯」は、三重だけのもの?
三重県生まれ三重県育ちの筆者は、進学のために京都に出て、標準語だと思っていた言葉がすんなり通じなくて衝撃を受けたことが何度もあります。とごる、車がつむ、ゴミをほる、机をつる……。
「味ご飯」はそんな言葉の1つ。
「味ご飯って聞いたことない」という人から、「味ご飯は味ご飯だ!」という人まで聞いてほしい、このご飯にまつわる話を!
味ご飯ってなに?
肉や野菜などの具をお米と一緒に炊いたものです。
具は鶏肉、にんじん、しいたけ、油あげ、こんにゃくなどがよく使われますが、山菜やたけのこ、貝類など、旬の食材を入れることも。
炊きあがったご飯の上には、刻んだ青ネギや三つ葉、飾りだけのために木の芽を置いたりします。
味ご飯は標準語ではない?
ズバリ、標準語ではありません!「味ご飯」は三重の方言。一般的には「炊き込みご飯」ですよね。
その他の東海地区、福岡、福島でも「味ご飯」を使う地域があります。
しかし、三重県では50%以上の県民が「味ご飯」と呼んでいるそうです。
「味ご飯」と聞いてすんなり受け入れる人を含めれば、三重県では「味ご飯」が浸透していて、共通語と言えるでしょう。
味ご飯は各地でなんて言う?
東京では「炊き込みご飯」、関西では「かやくご飯」。
かやくは漢字で書くと「加薬」となり、漢方において主薬に加える補助薬の意味で使われていたことから、転じてご飯やうどんに入れる肉や野菜を呼ぶようになりました。
その他、「五目ご飯」「まぜご飯」といった呼び名や、特定の食材をメインにした「鶏飯」「たけのこご飯」「牡蠣ご飯」などもありますね。
そして、なんと沖縄では「ジューシー」!
デザートじゃないの?と思いますが、豚バラ肉と野菜、ひじきなどを使った沖縄風炊き込みご飯で、お祝膳や法事の膳にも用いられるれっきとした郷土料理です。
「雑炊」を琉球語にすると「ジューシー」になったと言われており、入れる食材やご飯のかたさによって、呼び名が変わるところがおもしろいんです。
「ジューシーの素」も売っているようなので、味ご飯好きの筆者としては、是非、試してみたいと思います!
三重のおすすめ味ご飯
◇鮑ご飯:鮑といえば『伊勢せきや』さん。本店にある「あそらの茶屋」であわび釜飯が堪能できます。また、「あわびごはんの素」も売っているので、自宅でも伊勢せきやさんの味を楽しめますね!
◇鯛ご飯:鯛めしとして愛媛などでも有名ですが、伊勢真鯛を使うのが三重風。
◇牡蠣ご飯:牡蠣の出汁がたまらなくおいしいので、他の具材はなしでもOK。
◇伊勢海老ご飯:伊勢海老をごはんにまで使うのが三重ならではの贅沢。
海の幸が豊富な三重を表すラインナップですね。
味ご飯の思い出
筆者にとって「味ご飯」といえば、紀伊長島に住んでいた祖母の手作り味ご飯。
鰹(かつお)や鰤(ぶり)のお刺身の切れ端、時にはお刺身そのものを小さく刻んで、にんじん、干し椎茸などと一緒に炊いた醤油味の味ご飯です。ご飯の上には必ず青ネギがのっていました。いつも大量に炊いて、持ち帰り用に詰めてくれていたことも懐かしいです。
また、カマスの干物を焼き、ほぐした身と白ごま、刻んだシソをまぜたご飯もよく食べていました。朝ご飯にも、お酒を飲んだ後の〆にも合うんです、これが。
そして、イレギュラーな味ご飯の思い出といえば、潮干狩りで獲ったマテ貝をたっぷり入れて炊いたご飯。砂浜の穴に塩を入れて獲ったバケツいっぱいのマテ貝が、今も目に浮かびます!
こうして見ると、やはり三重は食材の宝庫ですね!
家庭で調理、味わうよさはもちろんのこと、次回、贈り物をする時は、三重の食材を使った「味ご飯の素」にしてみようかなと思いました。